11月30日<待降節が始まる前日の土曜日>は産まれることのできなかったいのちのために
御子が産まれくる喜びにあふれるアドべントをはじめる前に、その前日の土曜日は、産まれてこれなかった子どものために祈る特別な日にしましょう̶ 教皇ベネディクト16世は、全世界の教会にそう呼びかけられました。(★1)
前教皇の呼びかけにこたえ、日本社会に生きるわたしたちは、産まれる前の小さないのち̶ とりわけ、体外受精によって作成される「胚」を心に留めたいと思います。
受精の瞬間に人のいのちが始まることを、わたしたちは知っています。
人のかたちを備えていなくても、受精卵はすでに人あり、その一つ一つに霊魂が宿ります。
しかし、このもっとも小さないのちが世の中でどう扱われているのか、
わたしたちはよく知りません。
日本が世界一の体外受精大国であり、無数の胚を日々廃棄している痛ましい現実から、わたしたちは目を逸らしつづけています。凍結保存された胚を、人として尊重するのではなく、商品として処分してしまう 「使い捨て文化」 (★2) の横行を前に、わたしたちは無力です。
待降節をはじめる前日の土曜日にあたる11月30日のミサは、
「母の胎を知らずに胚のまま亡くなった小さないのちの救霊」のために
祈りを捧げていただけませんか。
世の中は「誰一人取り残さない」という大きな目標(★3) を掲げています。
ほんとうに胚の一つまで取り残さない「いのちの文化」(★4)の実現に向けて、 一致して祈るところから一歩を踏み出しませんか。
★1) 2010年に教皇ベネディクト16世は、産まれる前の子どもに焦点をあてた待降節前日の土曜日の意義を説き、わたしたちを特別な祈りに招かれました。
★2) 教皇フランシスコは 「The throwaway culture〜使い捨て文化」という言葉を用 いて現代社会を批判し、弱い立場にある「産まれる前の子ども、高齢者、困窮者、障がい者」の保護の必要を求めます。
★3) 国連の持続可能な開発目標SDGsは「誰一人取り残さない」がテーマ。
★4) 聖ヨハネ・パウロ2世教皇は、現代にはびこる「死の文化」を打ち倒して、 「いのちの文化」を築き上げるよう、とくに若者たちに訴えられました。